足踏みミシンのフリーモーション刺繍とは
足踏みミシンのフリーモーション刺繍、足踏みミシン刺繍は足踏みミシン時代から今に続いている直線縫いのフリーモーション刺繍です。送り歯を下げ押さえを取り外して布を刺繍枠にはめ込みミシンで縫います。
ステッチは基本のランニングステッチに加えて刺繍枠を大きく振って縫うサテンステッチ、ステッチの長さを変えるロングショートステッチ、ステッチを繰り返して凸状にするビーズステッチ等があります。普通の刺繍だけでなくカットワーク、ドロンワーク、アップリケ等の技法があります。
私はこのミシン刺繍をロシアの刺繍学校のオンライン講座で昨年の1月から今年の2月まで学んでいました。日本ではあまり知られていないミシン刺繍です。名前に足踏みミシンとついていますが事前のセッティングを行えば家庭用ミシンでも可能なミシン刺繍です。
足踏みミシン刺繍の情報を備忘録としてまとめた記事もあります。
足踏みミシン刺繍 (フリーモーション) まとめ - ミシン刺繍 ほっこりにっこり
足踏みミシン刺繍の関連書籍
1911年に出版されたミシン刺繍の書籍です。
「Internet Archive」で無償で公開されています。
足踏みミシン刺繍のさまざまな技法が紹介されています。足踏みミシンでどこまでできるか是非ご覧ください。
足踏みミシン刺繍の例
Kebaya ケバヤ 東南アジア
Kebaya(ケバヤ)はブラウスとワンピースを組み合わせたインドネシア、マレーシア、シンガポールなど東南アジアの国々の女性の伝統衣裳のことです。
特に「プラナカン」の女性が着るケバヤは色鮮やかで手刺繍と勝るとも劣らない大変に手のこんだミシン刺繍で飾られています。足踏みミシンで美しい柄と細かな透かし模様の刺繍を縫い上げています。生地をカットしてレースのような模様を作るカットワークという手法です。フランス語ではリシュリュー(Richelieu)
「プラナカン」とは、15世紀後半からマレーシアやシンガポールにやってきた、中国系移民の子孫のことです。マレー半島、植民地時代のヨーロッパ、中国の文化が融合したエキゾチックな文化を築きました。
[YouTube参考動画]
Nyonya Embroidery Skills by Kim Kebaya Penang
引用元: Kenny Ng
ウォーヴィチ刺繍 (ポーランド語: haft Łowicki)
ポーランドのウォーヴィチ地域には民族衣装に使われるバラの花々をモチーフにした足踏みミシン刺繍があります。衣装を華やかに飾っています。
足でミシンを踏みながら手で刺繍枠をものすごい速さと正確さで振り、刺繍を縫い上げています。神技です。
[YouTube参考動画]
Haft łowicki - folklor portal wiano.eu
引用元: Dorota Skrobisz
Bordados a máquina de pedal, machine embroidery
スペインのミシン刺繍作家さんのYouTubeチャンネルです。
直線縫いでサテンステッチを表現しています。 多数の刺繍動画があります。
グラデーションの縫い方が参考になります。
[YouTubeチャンネル]
Bordados a máquina de pedal, machine embroidery - YouTube
Atelier Linarte さん
ポルトガルの足踏みミシン刺繍作家です。マニュアルなのに整った正確なステッチ、それでいてコンピューターミシンとは違う温かみのある刺繍です。くさり編みした毛糸をミシンで縫い付けたりループにして羊の毛を表現をしたりしています。ミシン刺繍の表現の幅は広いです。Webサイトには素敵な作品のギャラリーがあります。
[YouTubeチャンネル]
[関連サイト]
かわいい作品が多数あります。
Beatriz Mendoza さん
YouTobeの概要によるとエクアドル共和国の30年の経験を持つミシン刺繍マスターだそうです。美しい刺繍とカットワーク(フランス語:リシュリューRichelieu)を足踏みミシンで仕上げています。ミシンを使ってできることは幅広いです。
[YouTubeチャンネル]
足踏みミシン刺繍が盛んな国
ラテン語圏
ポルトガル、スペイン、ブラジル等中南米のラテン語圏で足踏みミシン刺繍は盛んなようで多くの職人さんがYouTubeやSNSなどで活動しておられます。
足踏みミシン刺繍
ポルトガル語
「Bordado máquina a pedal 」「Bordado em máquina comum a pedal」
スペイン語
「Bordado a máquina del pedal」「bordados a máquina antigua」
検索するとその国の情報がヒットします。
ロシア
ロシアは足踏みミシンの時代、ミシン刺繍が盛んで多くの職人がいたそうです。今もその技術を引き継いでいる方々がおられます。
ロシアのミシン刺繍の情報に関しては下の記事にまとめてあります。