アール・ヌーヴォーとは
アール・ヌーヴォーは19世紀末から20世紀初めにかけて、ヨーロッパに広まった国際的なデザイン様式です。花やツタ、植物の左右非対称の有機的曲線の組み合わせなどが特徴で画家のアルフォンス・ミュシャ、ガラス工芸家のエミール・ガレが有名です。
それまでは「工芸は美術よりも劣る」と考えられていましたが、アール・ヌーヴォーの様式は建築物、家具、食器などの工芸品を芸術にまでに高めました。
流行が終わりアール・デコのシンプルさが求められた時代には過剰な装飾、悪趣味と酷評されたそうです。デザインの世界は厳しい。しかし1960年代にアールヌーボー様式の建築が再評価され始め現在までそのデザイン性は人を魅了し続けています。
※美術に関して専門家ではないので正確ではないかもしれませんがお許しください。
ヨーロッパ花の装飾文様
「ヨーロッパ花の装飾文様」は19世紀から20世紀初めにかけてフランスで出版されたアール・ヌーヴォー様式のイラスト集を昭和50年代に復刻したものです。工芸品のためにデザインされたもので二冊組となっています。渋めの色使い、曲線のデザインが好みなので八年前に古本を購入しました。植物や動物をモチーフにした装飾は刺繍図案としても参考になりそうです。ウィリアム・モリスがお好きな方におすすめです。
一冊目は1896年刊行された「La plante et ses applications ornementales」
ウジェーヌ・グラッセの指導のもとモーリス・ピヤール・ベルヌーイ他、複数のイラストレーターが参加してこの図版を製作しました。
先日この本がネットで無料公開されているのを知りました。購入した者としては複雑な気持ちですが、美術作品に気軽に触れることができる最近の動向はありがたいことです。 「Internet Archive」でデジタル書籍を無料で見ることができます。ダウンロードもできます。
二冊目は1901年刊行された「Les Fleurs et Leurs Applications Decoratives」
著者はE.A.セギーです。デザイナー、イラストレータ、昆虫学者でもあります。初期は落ち着いた色合いの作品ですが後期は原色の派手な蝶や昆虫のイラストを描いています。
ニューヨーク公立図書館デジタルコレクションで画像を見ることができます。
Les fleurs et leurs applications decoratives - NYPL Digital Collections
「ヨーロッパ花の装飾文様」からミシン刺繍してみたいと思いますが手強そうです。